イナバとナバホの白兎 パリ公演
Concept
パリのケ・ブランリー美術館の開館10周年を記念した新作劇の舞台美術。
劇場にその名を冠された、20世紀の知の巨人クロード・レヴィ=ストロース氏の著書『月の裏側』を下敷きとした戯曲。演出家の宮城聰氏からは、レヴィ=ストロースが言っている、世界中に散らばっている様々な神話の構造が「オモテウラ」の関係にあり、物語が「変換」して旅をしていくさまをビジュアル化してほしいというオーダーがあった。
なぜ物語がそのまま伝わらずに、わざわざ反転しながら伝わっていくのか、その仕組みを理屈ではなく、感覚的に納得できるように表現できないか、と考えた。
そこで考えついたのが、「鋳型」というコンセプトである。
ある鋳型の中に金属を流し込むと、その型を反転させたものができる。そのまわりに粘土など型どりをすると、元と同じ形の鋳型がでる。
物語もこのようにして、ある原型を元に、そこにその土地の動物や自然等のモチーフを流し込んで別の物語が作られるたのではないか、と仮定した。そうして生まれた物語は元の物語を反転させた構造を持っている。そうやって、物語は反転しながら伝わっていたのではないか、と考えた。この仮説のようなものに基づいて、ひとつの「鋳型」を空間として提示しているのが今回の『イナバとナバホの白兎』の空間デザインである。
劇場にその名を冠された、20世紀の知の巨人クロード・レヴィ=ストロース氏の著書『月の裏側』を下敷きとした戯曲。演出家の宮城聰氏からは、レヴィ=ストロースが言っている、世界中に散らばっている様々な神話の構造が「オモテウラ」の関係にあり、物語が「変換」して旅をしていくさまをビジュアル化してほしいというオーダーがあった。
なぜ物語がそのまま伝わらずに、わざわざ反転しながら伝わっていくのか、その仕組みを理屈ではなく、感覚的に納得できるように表現できないか、と考えた。
そこで考えついたのが、「鋳型」というコンセプトである。
ある鋳型の中に金属を流し込むと、その型を反転させたものができる。そのまわりに粘土など型どりをすると、元と同じ形の鋳型がでる。
物語もこのようにして、ある原型を元に、そこにその土地の動物や自然等のモチーフを流し込んで別の物語が作られるたのではないか、と仮定した。そうして生まれた物語は元の物語を反転させた構造を持っている。そうやって、物語は反転しながら伝わっていたのではないか、と考えた。この仮説のようなものに基づいて、ひとつの「鋳型」を空間として提示しているのが今回の『イナバとナバホの白兎』の空間デザインである。
Detail
、舞台上に半透明のカーテンを吊り下げ、その形が鋳型になっている。
一幕では、カーテンの外側に役を演じる俳優の身体があって、内側には台詞を語る話者とお囃子の演奏者がいる。
二幕では、それが反転し、外側に語り部がいて、内側に仮面をかぶった演者がいる。
レヴィ=ストロースの発見した「変換」の仕組みをこのような形で表現している。
三幕では、原神話すなわち鋳型が成立する以前の状態を表現するたために、カーテンを上空に吊り上げている。
頭上に輝くカーテンはオーロラのようでもあり、神話の種が光となって空から降降り注いでいるかのようにも感じられる。
一幕では、カーテンの外側に役を演じる俳優の身体があって、内側には台詞を語る話者とお囃子の演奏者がいる。
二幕では、それが反転し、外側に語り部がいて、内側に仮面をかぶった演者がいる。
レヴィ=ストロースの発見した「変換」の仕組みをこのような形で表現している。
三幕では、原神話すなわち鋳型が成立する以前の状態を表現するたために、カーテンを上空に吊り上げている。
頭上に輝くカーテンはオーロラのようでもあり、神話の種が光となって空から降降り注いでいるかのようにも感じられる。