『イヌビト~犬人~』舞台美術

concept 2つの様相を抱き込んだ壁
「どこかの国」の森に囲まれた「どこかの町」で、
「イヌビト病」という感染症が蔓延し、感染した住民は夜になるとイヌビトと化し、町や森を徘徊する。という物語。

扇型に広がる客席の中通路から前方をフラットな張り出し舞台とし、
主舞台全体に高さ8メートルを超す舞台装置を組み上げた。

1枚の薄い壁の両面にそれぞれ
「町」と「森」が描かれている。
壁は逆S字のカーブを描き、陰陽太極図のように
「町」と「森」という2つの空間が、
背中合わせになりながら互いを包む様に配置されている。
それは、人工と自然、昼と夜、そしてヒトとイヌなど、
物語に対置された様々な要素を象徴する。
Effect 溶け合う景色
装置は回り舞台の上でぐるぐると回転し、
二つの空間が流れる様に移り変わっていく。
そこに現れるのは、二つに分断された空間ではなく、
町と森が絡み合い流れながら溶け合っていく様(さま)である。

2つの空間を分けて隔てていたはずの壁が、
流れ行く時間の中で両者を媒介し繋げる役割を果たす。

物件名|『イヌビト~犬人~』舞台美術
会 場|新国立劇場中劇場
会 期|2020年8月5日~16日
演 出|長塚圭史
写 真|新良太(☆を除く)

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